昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

時代は”空間有効利用”

「売れてる車は30年間変わってない!! 日本人が求めるサイズと価格」
https://bestcarweb.jp/feature/column/2767

うーむ、浅い・・・
このブログくらいに浅い考察だ・・・
売れている車のカテゴリー分析が3ナンバーと5ナンバーのざっっっくりとした分け方だ・・・

思えば私も30年近く前から車を運転しているのだが。
まず、当時は5ナンバーの方が税金が安かった。
だから5ナンバーが売れた。

3ナンバーでも税金額が同じになると、メーカーが3ナンバー車を多く出すようになった。
そして3ナンバー車の方が優れた車が多かった。
5ナンバーサイズに収めるという意識がなくなったから設計しやすくなったせいだと私は推測する。
それまで5ナンバーだったモデルがどんどん3ナンバーになっていったしね。

当時電子部品技術者だった私は車メーカーがうらやましかったね。
機能が入りきらなきゃ外形をデカくすりゃいいじゃん、という考え方で設計しているとしか思えなかったから。

そしてそれらの3ナンバー車には売れ筋モデルが多数あって分散して、ランキング上位には表れにくくなりますわな。
当時のカローラは5ナンバーセダンの代名詞的存在で、それまでの”歴史”によって売れていたのだ。

また、当時はセダンが最も良いクルマの形と思われていたのだ。車の重量バランス的にも。
ハッチバックのような尻が切れたデザインをよしとしない人は多数いた。
だからカローラのような車の方が売れていた。
また、ハッチバック車にはロクなものがなかったということもある。
マトモなのはパルサーかファミリアくらいだったか。
当時のホンダのハッチバック車は酷かったんだぜ・・・
他メーカーであっても、ハッチバック車を買おうと思うと”ワゴン”しか選択肢がなかったのだ。
そして皆、荷室がキャビンと分離したクルマの方が良いと思っていたのだ。

ところが、ホンダの何が変わったのか、”フィット”を発売する。
フィットの完成度の高さはここで言うまでもない。
これでユーザーが「ハッチバックのコンパクトカーっていいじゃん」と意識が変わり、各メーカーがコンパクトカーに力を入れるようになったのだ。

フィットのようなコンパクトカーはアタリマエだがセダンよりも荷物をたくさん積めてキャビンも広く感じる。それなのにサイズはセダンよりもかなり小さい。
このころになると社会全体の車の台数がだいぶ増えてきたから、小さい車の方が精神的に楽に感じることが多くなったのだ。

そして現在の売れ筋は軽自動車。
軽自動車がこのような状況になった先鞭はワゴンRですな。
軽自動車でも広々できるじゃん、とメーカーやユーザーが気づいたのだ。

まとめると、
昔の車の売れ筋は、予算が許せば大きいセダン、予算的に仕方なくカローラとかブルーバードとか、
社会全体で車の台数が増えてきてクルマの大きさがウザくなってくるとコンパクトカー、その中でも外形に対して車内空間が広いもの、
現在ではそれがさらに進んで、N-BOXに代表される車内が広い軽自動車、
といったところか。

ちと想像してもらいたい。
道路はどこへ行っても広く、多少狭い道路でも対向車はほとんどいない、駐車場も十分に広い、ような社会状況だとする。
そんな状況で軽自動車なんか誰が欲しがる?
デカい車がいいに決まっている。
社会状況で売れ筋クルマは確実に変わっているのだよ。