昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

車メーカーの”体質”は変わらない、体質はそのうち製品の信頼性に表れる

OEMで売る軽自動車の評価を全くしていなかったという”体質”が問題

某自動車メーカーでまた不正発覚の話。

https://toyokeizai.net/articles/-/228846


例えば完成車検査についての”不正”に関しては、
決して擁護ではないが、法律の方がおかしいとする意見もあった。
話を聞くと確かにそうである。
しかし法は法。決められている以上守らなければならない。(上記の”意見”もこれを付け加えていた)
法がおかしいと思ったならば、自動車工業会を通して改正を求めるのが筋。
これまでそれをやっていない。

現場での不正、それはそのメーカーの”体質”といってよい。
開発現場や製造現場で先輩が、「これは”こんなもん”でいい」と指示して
後輩はそれに従う。
その後輩が先輩になったら、またそれが引き継がれる。
不正が起きる体質は脈々と引き継がれるのだ。

昔々、このメーカーの研究者と自称する輩と掲示板上で話をした。
車の視界がどんどん悪くなっている、ということについて。

この輩は”視界”を研究していると言っていたが、いわく、
「車の視界は悪いもの」。

この意見に対して周囲も、トラックなんか真後ろは見えないじゃん、とかトンチンカンな同意をしていた。

車の視界が悪いことは事故につながる。
悪いものは少しでも良くするように努力しなければならない。それが研究者や開発者の責務。
当時はまた”モニター”などなく、形状を工夫するなどしなければならなかったのだが。
”視界”の担当者であるべき輩は悪びれていなかった。

そしてこのメーカーは歯医者の椅子に座らせるようなドライビングポジションで視界が悪く、前照灯も暗くフォグランプのようなものを点けなければ夜間走行がコワイような車を販売していた。”デートカー”としてウケたあの車だ。

最近では、三菱との”共同開発”であったはずの軽自動車について、
三菱の燃費改ざんにしばらく気がついていなかった、という問題があった。

つまり、このメーカーに限ったことではないが、
”こんなもんだろう”とか”これで大丈夫じゃね?”という意識が色濃いということだ。
そしてその意識は前述したように、かなり昔からの体質で、そう簡単には変わらない。
それはいずれユーザーの不利益、すなわち製品の出来となって返ってくる。

重要視しなければならないのはデータ不正ではなく、
自社ブランドで売る(三菱が開発した)軽自動車の評価をロクにしていなかった、という事例に代表される”体質”である。
一連の不正問題はそういった”これでいいんじゃね?”意識・体質から派生したに過ぎない。
他の車種でも”こんなもんでいいんじゃね?”という意識で設計・製造されていないのか?
注視した方がよい。