「自動運転車」で思い出した話
自動運転車ってものが度々報道に取り上げられますが・・・
まー、自動運転車における問題はいろいろ、いろいろと言われてはいます。
そういう話は他のとこの記事を読んでもらうとして。
ふと思い出した話。
日本が半導体産業で頭角を現した時代のこと。
半導体部品の後半の工程では”ボンディング”というものがある。
ボンディングとは、半導体素子、つまりLSIとかと
リードフレーム、電子回路との接続端子になる多足の板、
とを細い金のワイヤーで繋ぐこと。
半導体産業が立ち上がりかかった時代、
この工程は、金線を通したミシン針のようなものを人間が顕微鏡を見ながら電極に落とす、という方法で行なわれていた。
半導体工程をコストダウンしようとしたときには、この工程の自動化が必要になった。
欧米で作られたボンディングマシンは、
金線を通したミシン針のようなものが着地する位置を、狙撃用ライフルがレーザーポインターを当てるようにレーザーでミシン針が落ちる位置を示すというシステム。
レーザーのポイントを見ながら、それを人間が半導体素子やリードフレームの位置に合わせてから人間がスイッチを押すとボンディングしてくれる、というもの。
この位置合わせシステムでボンディング作業は格段に楽になった。
これは”セミオート”のボンダーと呼ばれる。
しかし日本では・・・
人間が行なう作業を全て機械化しようと試みられた。
ボンディング針を落とす位置をカメラ画像から検出し、ボンディング針をその位置に自動で落とす。
このシステムにより、ボンディング工程は完全に自動化された。
これは”フルオート”ボンダーと呼ばれる。
このフルオートボンダーで日本の半導体産業は大幅にコストダウンされ、世界を席巻することができたのだ。
セミオートボンダーの考え方は、産業革命時に発明された”治具”の考え方。
”型”を作って、その型に合わせて人間が作業する。
フルオートボンダーの考え方は、従来の日本産業で行なわれていた”職人芸”をオール機械化しようとしたアイデア。
何が言いたいのか、と言いますと・・・
自動運転車も、人間がやることを全て自動化した実績がある日本の技術であれば
世界最高のものができる可能性が充分にある、ということ。
ただし、ひと昔前の完璧主義の意識を持った技術者がたくさんいないとダメだろうけど・・・
念のため言っておきますが、自動運転車がいいとか悪いとかいう話ではありませぬ。
ただ単にできるかできないかの話。