昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

「スマホ依存」は仕方がないが

ディスプレイメーカー、電子部品メーカーの「スマホ依存」が業績に与える影響。
http://toyokeizai.net/articles/-/117814
http://toyokeizai.net/articles/-/118053

そりゃまー、スマートフォンが最も売れているんだから、そこに注力するのは当然、
そしてスマートフォンの売れ行きに左右されるのは当然、か。
スマートフォンでも何でも、”民生品向け”の宿命だ。
他に安いメーカーが出てくればそちらに客を奪われるのも、これまた宿命。
だから仕方がないことだとも思うのだ。

電子部品なんか開発して発売した直後から価格は下がり続ける。
円高の影響も上記記事では指摘されているが)
だからハツカネズミのようにコストダウンと開発をやり続けなければならないのだ。

しかし、見方によっては、スマートフォンはここ数年ですぐになくなることはない。
多少の販売台数の上下があるとはいっても。
つまり、スマートフォンは安定顧客ということもできる。
ただしその客はすぐに奪われやすいが。

冒頭にあげた記事中で言われているのは、スマホ依存から脱却し車載用途に、ていうのが。
うーむ、これも長い目で見たらどうかなあ?と思うのだが。

スマートフォン向けで業績が大きく上下するのは、スマートフォンは”箱もの”だから。
部品を集めて組み立てれば誰でもそこそこのものができるくらいに標準化されている。
その部品のメーカーはハイエンド機でもなければあんまり問われない。

で、車はどうなのか。
車はこれからどんどん標準化が進む。
使われる部品なんかそのうち皆おんなじになる。
そしたら、いわゆる”スマホ依存”と同じ現象が起きるのではないかね?

しかしながら、こういった状況になるのは”自動運転車”が標準になってからのこと。
現在はそんなことは起きますまい。

車載部品は耐久性の基準が厳しい。
例えば、通常の民生品の高温耐久性の温度基準が125℃だとすると、車載用は150℃が求められるのだ。
これは作る側にとっては結構キツイ。
だからある程度の技術力・ノウハウがないメーカーには作れない。

って、油断しているとまた中国に持っていかれるのだがね・・・

電子部品メーカーが「○○依存」から抜け出すためには、
”箱もの”ではないものを箱ものメーカーと一緒に開発するしかない。
そしてそれが爆発的に売れるしかない。
でも実際はそんなことは不可能。少し考えればわかる。

だから、「○○依存」って結局仕方がないことだと思うのだ。
あとは売り先を選ぶとかリスク分散で対策を打つしかないのだ。
売り先だって栄光盛衰。
今は悪くてもそのうち反転するかもしれないし、もちろんその逆もある・・・