昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

デジタル端末を使うな、とは言わないが・・・

子供のデジタル端末使用の影響についての論争。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/1054402/111100014/

小さい頃から使わせた方がよい、小さいときは使わせない方がよい、両論あるのは当然かと。
ここでは、パソコンやタブレットスマートフォンなどのデジタル端末とはそもそも何なのか、というところから考えてみよう。

インターネットに繋がっていていろいろ調べられる、計算もできる、文書や表の作成もできる。
基本的には何でもできる、しかし中身はブラックボックス

このブラックボックスであるところが重要で。中身で何が行われているかわからない。
いや、子供ではなくてプログラミングをやっている人ならばどういう処理が行われているか知ってるぞ、と言うかもしれない。
でもそんな人であっても、各電子素子がどういう動作をしているか分かりますかな?
LSIを外から見た時の入出力ではなくて、中で電子がどう動いているかってとこまで。

いやいや、そんなことまで考えていたら何も使えない。
確かにそう。
だからブラックボックスブラックボックスと捉えて使うことも必要なのだ。

しかしもし、小さい頃から”ブラックボックス”しか使っていなかったとしたら・・・?
そのブラックボックスの先に繋がっている”現実”とか”現物”をイメージできない。
イメージしたとしてもゲーム的イメージ。

ある実例。パソコン上で操作する機器なのだが、数十kVの電源をオンオフするアイコンを何度もカチカチカチとクリックしまくる中国人。
思わず”わー!!”と声を上げましたがな。
高電圧をそんなに激しくオンオフしたら壊れるだろうが!!
いや、日本製機器だからそう簡単には壊れないと思うが、その機器には激しい負担が。
つまりこの中国人はパソコンの先に高電圧コントロールが繋がっているという”現実”をイメージできていないのだ。
ちなみにそれでも”博士”。

ここまで危険ではなくても、似た事例はそこいらに転がっているのでは。

小さいころから”ブラックボックス”しか使ってこなかったとしたら、デジタル端末と現実の繋がりをイメージできない大人が出来上がる。
そういう大人は既に相当数いるが・・・
ブラックボックスしか使っていないから、物事の”本質”をイメージできない
物事とは物質だけではなく、例えばお金。
お金というのは価値を記号化したものであるが、その記号を転がして儲けようとする輩が多し。
その行為は現実世界には何の価値も生み出してはいない
労働力に対して対価を支払うという経済の基本を知らないブラック企業の経営者とかもね。

だから、子供の時期にはできるだけ多くの”現実”に触れさせなければならない。
自分で何かを組み立ててみるとか。
お金を使うときはクレジットカードではなく硬貨や紙幣のみ使うとか。
どれだけ多くの現実を体験したかによって、その後の想像力のレベルが決まる。
”想像力”が致命的に欠如した輩が多いからなー。ネット内でしか想像できないような。

一方、大人の世界はデジタル端末を使わないと始まらない。好む好まざるに関わらず。
だから、子供の頃からデジタル端末には慣れさせなければならない。

というわけで、子供にデジタル端末を使わせるならば、”慣れさせる”程度にとどめるべきだと思うのだ。
もしデジタル端末をいっぱい使わせているならば、その倍以上の”現実”も体験させるべきであります。