昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

”特許”とはそもそも・・・

コカ・コーラのレシピは”特許”を取っていないそうな。
http://diamond.jp/articles/-/114980
ま、記事中にも出ているがこの本の紹介記事。

製造業で開発なんかやっていると”特許”の問題は避けて通れない。
まあ、大抵は「特許を取れ」と尻を叩かれるのだが、
中小企業なんかだと特許を申請するかどうかは微妙な問題になることがある。
たまに大手メーカーでも”特許にはしない”という選択をする話を聞いたことが。

このご時世、わかっている人はおそらくごく少数ではないだろうか、”特許法の理念”。

日本では特許制度ができたのは明治時代。
日本の工業は技術的に遅れており、欧米に追い付かねばならない。
そこで・・・
「よい技術を発明したら日本中のみんなで使えるようにぜひ”公開”してね。
 でも苦労して発明したんだろうから、発明した人には何がしかの”権利”を与えるよ」
という理念でできたのが日本の特許法

そう、理念的には 特許=技術の公開 なのだ。
ところが、発明者に何の断りもなくただパクる輩とか、”権利”による金儲けとか、という世の中なので
知的所有権”なんて権利が独り歩きしているのだ。

ちなみに、特許の理念が”技術の公開”であるので、
特許を申請するときの技術内容の記述は、書かれている通りにやれば誰でもその技術を再現できる、ように書かねばならない。
ま、実際は特許庁の役人が自分で実験するわけではないので、ウソが書かれていることは少なくない・・・

さて、”権利”があったとしても技術の公開によるデメリットの方が大きいかも、という場合は特許を出さないという選択肢を取る。
その線引きの一例は冒頭にあげた記事でも論じられている。

実際のところ、中小企業なんかだとよっぽどのことがないと特許を出さない方がよい場合の方が多い。
すでに大手企業の加護を受けているとかでない限りは。

中小企業がすごくよい、大企業にとっては”目の上のたんこぶ”になるような特許を出したとする。
そうすると大企業は”人海戦術”でありとあらゆる周辺技術の特許をみんな取って、中小企業が身動き取れないようにしてしまい、潰す。
特許を出すのにも金と人手が必要なのだ。だから中小企業では周辺技術の特許を抑えるのには限界があるのだ。

本当に基本的な特許であればびくともしない、ということはないわけではない。
特許の話ではないが、青色LEDの話。
発明したのは中小企業。ご存知とは思うが。
当時その企業に在籍していた中村氏が学会で発表すると、大企業から「作り方を公開しろ」という発言が相次いだそうな。
中村氏は「立場が逆だったらあなた方は公開しますか?」と突っぱねた。

またまた特許ではないが。
工場で製造装置とか組み立て装置を他社から買う。
そして工場の設備管理部隊がその装置を詳細に調べて、次からは自社でその装置と同じものを作ってしまう。
てなことをT○○がやっているんだそうな。

大企業のやり方なんてそんなもん。

”特許”だけでは”防衛”できないこともあるというお話でした・・・

ところで、冒頭で挙げた記事ではコンビニおにぎりなど紹介していましたが、
食べ物つながりでサブブログを。
男のワンご飯