昔気質技術者のお小言

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体格が小さいと不利なのはアタリマエ

「埋まらないサーブの差」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/198053

ま、”純粋な”日本人の体格ではそうだろうな、と思うのだ。

あるサイトによると、錦織選手のサーブの平均速度は180キロ、
トップ選手の平均は200キロだそうで。
つまり、速度で1割劣る。
もちろん裏は取っていませぬが、これを元に考察する。

サーブの速度は力学的には何で決まるか。
インパクトの瞬間のラケットの運動速度である。
ラケットのインパクト時の運動軌道は、肘を中心とした回転運動である。
(手首を回転中心とした回転運動もあるが、今回は単純化のためにこう考える)

運動連鎖とか何とかと言っても、最終的にはラケットの回転運動に帰結する。
その回転運動の速度を上げるための”運動連鎖”なのだ。

一方、回転運動中心での回転運動速度が同じとすると、
ラケット先端の速度は回転中心から先端までの距離に比例する。

すなわち回転速度が同じならば身体がデカい方が、それだけでラケットの速度が上がるのだ。
肘からラケットまでの長さが長くなるから。
これにさらに体幹を回転中心とした肘の運動速度が加わる。
そしてこれも体幹から肘までの長さが長い方が、運動速度が速くなる。

さて、プロ選手の体格。
錦織選手の身長は178センチ。
フェデラーは185センチ、ジョコビッチは188センチ、チリッチ198センチ、などなど。
身長差とサーブの速度差は比例すると思いませんかな?

トップ中のトップ達となると、テニスの技術はハイレベルでの”どんぐりの背比べ”となる。
”運動連鎖”という基本中の基本の動きはできていて当然、さらにそれに”無理”な動きを加えないとプロではやっていけない。
その”無理な動き”は当然相手も同じことをやっている。
同じことをやっていたら、体格差がそのままスピード差になる。
だから、体格が小さい日本人が欧米選手よりも上に行くためには、身体にさらに”無理な”負担をかけなければならない。
しかし相手もプロなので、自身にもさらに”無理”をかけて臨んでくる。
というイタチごっこ、結局は体格が小さい方が不利なことは消せない。

だから、日本人がサーブの速度をさらに上げようとしたって、故障・怪我がさらに増えるだけだ。
それよりも、”魔球”でも研究したら?
野球ではかなり研究されているじゃん?
現実世界ではないが、巨人の星星飛雄馬は、自身の体が小さく体重が軽いことを利用した大リーグボール3号を開発した。
もちろんそれは漫画の世界の話だが、それくらいの発想の転換が必要だということだ。

ちなみに、草テニスレベルのアマチュアは、ごく基本的な動きができていて練習時間が長い方が強い。
昼休みを自己延長してテニスをしていて税金返納しろ的連中のようなヒマ公務員とかが強かったりするのだ。
身体に無理がかかる、ケガや故障したりするのは動きのどこかが間違っている。アマチュアではね。