昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

スライスが滑って伸びるのは

上手い人が打ったスライスのボールは、バウンドしたときに滑って伸びてきて、差し込まれる。

私は苦手です(汗)

スライスボールがなぜこういう挙動をするのか。

「バウンドした瞬間にトップスピンになる」

こんな説明をされて目が点になったことがあります(汗)

もう少し想像力を働かせようよ・・・

まず、スライスボールの軌道がホップ気味になるのは、逆回転によって浮力が働くから。

トップスピンが落ちる軌道になる逆ですな。

そして、バウンドがなぜ滑るのかについては、高校で習った物理を思い出さなければならない。

摩擦係数の話。

摩擦が理解できない人は一生スライスを説明できないだろう。

ま、別に説明できなくても日常生活には支障はないが・・・

摩擦力には二つある。

静止摩擦力と動摩擦力。

そして、最大静止摩擦力 > 動摩擦力 である。

さて、ボールのバウンドの瞬間にはボール表面とコート表面の間には摩擦力が働く。

このとき、普通の緩いトップスピンでは、バウンドの瞬間はコート表面に対してボール表面は静止している。

つまり、コート表面にボール表面が引っかかる状態。

静止摩擦力がかかる。

しかし、ボールの逆回転が激しい場合は、バウンドの瞬間のボール表面には

ボールの進行方向の力+ボールの逆回転力という大きな力がかかり、

その結果、コート表面に対してボール表面がスリップする。

すなわち、摩擦力は動摩擦力となる。

ここで、最大静止摩擦力 > 動摩擦力 でありました。

ボールがスリップすると摩擦力は減る。

動摩擦力はかなり小さい。

ボールがスリップするとスリップしない時よりも、ボールの進行方向の成分は水平方向が大きくなる。

よってボールは低く伸びる、と。

いわゆるちょん切りスライスは回転力が少ないのでスリップしない、

ぽわんと放物線の軌道になったスライスは、ボールの進行方向の力が少ないのでスリップしない、

のです。

以上、お分かりでしょうかな?

ちなみに、フラットで打たれたボールもバウンド後が速く&早く、バウンドも低くなって、私は苦手(汗)

この場合はボールのスリップではないです。

ボールのコート接触点とボールの重心の間にモーメント力が働くから。(用語的におかしいが)

詳しい説明はまた次の機会に・・・