PowerPointを信用してはいけない
PowerPointの比較的新しいバージョンをいじっているが。
いろいろな「ひな形」が増えていてすごいなあ。
スライド全体のデザインを選ぶと、レイアウトや色が自動で設定され、入力がすごく楽だ。
かなり前のバージョンからその機能はあったが。
最も重宝する機能は、
Excelからコピーしてきた表やグラフを、PowerPoint上でかなりのレイアウト変更ができること。
まあ逆に言えば
PowerPoint上でそのスライドの背景にあった色に変更しないといけないのだが。
インターネットにつないでいないと利用できないが、各種の発表パターンのテンプレートも用意されている。
論理の展開を図で示すためのSmartArtなるものも多数のパターンが入っている。
そんなわけで、今のPowerPointを使えばプレゼンテーションは誰でも簡単にできる。
・・・などとは絶対に思えない。
PowerPointに勧められるとおりにスライド作成を進めると、とても薄っぺらなプレゼンスライドになるぞ。
まず、スライドのデザインに用意されているパターンはスカしたものばかりだ。
中にはタイトルを下側に配置するような馬鹿なパターンもある。
こんなものは一見オシャレと勘違いするかもしれないが実用性は全くない。
こんなスライドのレイアウトをするスカした発表者がいたら、きっと私は聴講席からシャーペンを投げつけるだろう。
スライドの設定を行ってしまうと、各ページのタイトルのフォントがほぼ固定されてしまう。
タイトルは面積を無駄にとっているし、フォントは大体でかすぎ。
見やすい配置になるようにと設定されたものだろうけど
気合の入った本気のプレゼンをするときの資料作成の際にはこの設定はかなり邪魔。
なぜなら、スライド一枚のある程度の情報を詰め込むときにはタイトルや項目の配置間隔を詰めたり、フォントを少し小さくしなければならないのだが、いちいちスライド一枚一枚で設定し直さなければならない。
フォントの大きさも勝手に修正されてしまいがち。
おそらく一般的には、スライド一枚にあまり多くの情報を詰め込まない方がよいとされているのだろうけど。
しかし論理の展開をできるだけわかりやすいようにしようとすると、スライド一枚内である程度のストーリーを展開しなければならない。
例えば、三段論法をつかうときにそれを三枚のスライドで述べるのと、一枚のスライドの中で三段論法を完結させるのとどちらが分かりやすいか?
もちろん後者だ。
そうすると多めの情報を一枚のスライドに配置しなければならない。
この時にフォントの大きさやタイトル配置が勝手に行われてしまうのが邪魔になるわけだ。
スライド一枚に多くの情報を描くと見づらくなると思うだろうが、
そこはアニメーションを活用して各要素を順番に示していけば大丈夫、充分見やすくできる。
このアニメーションも、ズに乗っていろんな効果を使う輩が多い。
しかし、要素が上下左右に動いたりぐるぐる回ったり変形したりしてもイライラして見づらいだけ。
使うアニメーション効果はせいぜい「ワイプ」あたりにとどめておいた方がよい。
勘違いしている人が多いようだが、
プレゼンを聴きに来ている人はスライドのデザインやアニメーションを見に来ているのではない。
論理の展開を聴きに来ているのだ。
それを分かりやすくするためにはホンのちょっとのアニメーションだけでいい。
それ以上の効果はただただ邪魔である。
というわけで、新しいPowerPointの勝手な設定で使えるものは配色くらいか。
これもグラフを見やすく描くときには邪魔になるかもしれないが。
重要なプレゼンを行うときには自動の設定は使わない方が良い。
スライドのデザインだって、観る側が「これはインストールされていたデザインだな」と気づいたら興ざめだ。
ただし、どうでもいいプレゼンで簡単に資料を作成したい時には自動設定機能は大変重宝するとは思う・・・