昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

カタログ燃費と実燃費が乖離しているのは

いわゆるエコカーで、カタログの燃費より実際の燃費がかなり悪いことについて

日本自動車工業会がその要因を説明したパンフレットを発行、との記事。

http://toyokeizai.net/articles/-/13892

 

で、当該パンフレットはここからもダウンロードできる。

http://www.jama.or.jp/user/jitsunenpi/

 

・・・何を今さら、という感じもするのだ。

 

私は自工会を信用していない。

自工会は、車の事故を減らすことには後ろ向きとの印象がある。

(そういう印象を持つに至った原因は失念してしまったが)

事故の原因は100%人間。

そこに手をつけなければ根本的な解決はあり得ない。

それをやってしまうと事故が減って自動車の販売も減ってしまうから、やらない、のだね。

 

しかし事故が起きても運転者=購入者が生き残るような方策はどんどんやる。車が壊れて購入者が残る、というのは自動車販売にとって理想的だ。

ブレーキを自動でかける技術を盛んに宣伝しているが、こんな技術を導入しても重大事故は減るかもしれないが、歩行者が巻き込まれる事故や中規模の事故件数自体は大きくは減少しないだろう。

 

閑話休題

実燃費が悪いとのクレームが増えたため当該パンフレットを作成したとのことだが、

クレームが出るというのはそもそも売り方が間違っているからだ。

参考程度にしかならないとわかっている測定燃費を、デン!デデン!と前面に押し出し過ぎ。

 

間違った売り方になるのは、消費者が騙されやすいことにも原因があるのだが。

カタログ燃費の数字に踊らされるから。

カタログ上の燃費なんて数字のお遊びレベルだ。

 

例えば、ハイブリッドカーなんて、モーターとバッテリーで車重が大きく増加している。購入費やいわゆるエコの観点ではほとんど意味がナイ。

燃費が良いとされる軽自動車だって、中にはガソリンタンク容量を小さくしているものもある。積むガソリンを減らすのも軽量化にはなるから。

自動アイドリングストップも、部品が増えるし価格は高くなるし。

 

しかしながら、当該パンフレットは一応読む価値はある。

カタログ燃費に踊らされている人もそうでない人も。

クルマのことを少しでも真面目に考えたことがある人が読めば分かりきったことしか書いていないのだが、それでも結構新鮮。

 

それにしても、カタログ燃費という「数字」は所詮「一つの条件」での「一つの数字」でしかない。

これに踊らされるというのは自分の脳ミソで考えるという行為を放棄していることですぞ。