昔気質技術者のお小言

車、日用品、家電製品、時事問題を技術者的に

気温と輻射熱

このエントリーを書いているのは、この時期にしては気温がかなり上昇した日。

ま、こっちの地域では気温はそこそこ高いものの冷たい雨が降っていてわりと寒かったが。

で、その日の朝のとあるラジオ番組で。

「気温が何度のときにどのような服装をしていたかを記録しておけばよかったなー」などと。

気温と服装の関係を確立しておけばいいのではないかとする考え。

まあ、確かにそういった記録があると便利だとは思われるが・・・

でも体感的に暑いとか寒いとかは”気温”だけでは分からんのですよ。

例えば”梅雨寒”という言葉があるように、湿気があると空気の熱伝導が高いので、気温が少し低いだけで寒い。

これはすでに感じている人は多いかと。

そして結構重要なのが”輻射熱”。

建物とか地面(舗装道路とか)からの熱。

人体が暑いとか寒いとか感じるのは、この輻射熱によるところの方が大きい。

例えば、一年中一定の温度に保たれている、半導体製造で使われているクリーンルーム

夏だろうが冬だろうが23度くらいですかねえ。

でも夏と同じ服装(宇宙服みたいなスーツの下)で冬に入るとやはり寒い。

これは壁面などの輻射熱があるかないかによる。

(人体に貯まっている熱量の違いもありますが・・・)

だから、ホントに高級な?クリーンルームは建物の壁面から離した位置に設置されている。

暖房でエアコンを使う場合もそう。

エアコンで20℃くらいに室温が温まっていても、エアコンでは寒いと感じる人は多い。

それはエアコンの室温プラス数度程度の温風では部屋の壁とかが温まらず、そこからの輻射熱が無いから。

石油ファンヒーターなどはかなりの熱風を出すから、壁などが温まりやすい。

というわけで、屋外でも同じこと。

晴れている時と曇りのときでは、気温が同じでも前者の方が”暖かい”。

建物の壁面とか道路とかからの輻射熱があるから。

春と秋では気温が同じ日であれば後者の方が暖かい。

秋はまだ夏場の熱が地面に残っているから。

気象庁が観測している”気温”は当然ながら輻射熱の影響は完全に排除されている。

これに輻射熱の影響を含めた”体感気温”は原理的には測定できると思うのだが・・・

しかし輻射熱は場所によって違いますしね。

建物とか道路とかの状況が。